TOWN GUIDE

古いものを、そのテイストは残しながらも、
機能を変えて新しくする。
リノベーションのような流れは、
流行を超えてすっかり定番となりつつある。

しかし、古くからあるものをそのままずっと使い続ける。
これ、至って単純そうでありながら、
モノがあふれ、新しいモノが次々と出てくる今の時代においては
逆にとても難しいことになっているように感じる。

 

閑静な住宅街に突如あらわれる「ゆ」の看板

 

日本が誇る銭湯文化もそのひとつではないだろうか。
温泉やスーパー銭湯などと違い、
日常、つまり「ケ」の場として愛されてきた銭湯。
日本の町なかから、その姿がだんだんと消えているのはご存知の通りだ。

 

静かな住宅街のなかにあらわれる「ゆ」の暖簾

 

学生街として栄えた箱崎周辺にも、
少し前までは数多くの銭湯があった。
梅の湯は、そんな古きよき日本の文化を、
今に受け継いでくれている東区の名店だ。

 

まずは、靴箱からギュッと心を掴まれるレトロ可愛さ

 

住宅街の一角にある銭湯は、
通りに対しては控えめに暖簾だけで
その存在を知らしめているが、
一旦、番台を抜けてお風呂に入ると
お馴染み壁一面にドーンと描かれた富士山が出迎えてくれる。

 

男湯の富士山。絵師の中島さんは、全国の銭湯に富士山の絵を描いている

 

この絵は、知る人ぞ知る、
日本でも有数の銭湯絵師の中島さん作。
なかには、この絵をお目当てにわざわざ
遠方から訪ねてくる人もいるのだとか。

 

女湯の富士山は、ちょっと角度と色味を変えて

 

しかし、日常はご近所さんから
仕事帰りのサラリーマンまで
多い日は60〜70人を超える人達が
開店からこのお湯を求めて足を運んでくる。

 

会社帰りや飲みに行く前に、ふらりと立ち寄ってもらえるように貸出できるタオルやシャンプーセットが揃えられている

 

おそらく、自宅に湯船、少なくともシャワーが
ないわけではないだろう。この開放感と気持ちよさ、
今日一日の疲れを癒やしてくれる存在なのだろう。

 

女湯と男湯を仕切る大きな鏡。小物ひとつひとつに重厚感あり

 

もともとこの辺りの農家に間借りする
九大生のために、梅の湯は、昭和38年に開業。
高齢となった店主の跡をついで、息子さん夫婦が
毎日お店をあけている。

 

なつかしの座ってできるドライヤー。もちろん、現役で活躍中。20円入れたら動きます

 

今回、梅の湯を訪ねて思ったのが、
古いものを使い続ける要になるだろうことが、
地道なお手入れ、そして、メンテナンスだ。
梅の湯の居心地の良さ。
その大きなカギとなっていると感じるのが、
古いけれどよく手入れをされた空間、そしてモノたち。

 

お風呂は、水風呂、ぬる風呂、そして普通のお風呂の3種類

 

脱衣所は、主に店を守る奥様によって
毎日雑巾の水拭きをされていたり、
サラリーマンとして働く傍ら
息子さんが浴槽内の手入れをしたりー。
毎日のその積み重ねが、変わらぬ心地よさ
そして輝きを放っているようだ。

 

靴箱と同じくロッカーも木製。奥に見えるは牛乳の冷蔵庫。湯上がりには、腰に手をあてごくごくと飲み干したい

 

昔ながらの銭湯の番台、
木製の靴箱やロッカー、そして、
ヴィンテージ感たっぷりのドライヤーにマッサージチェア。
どれもレトロ好きにはたまらない愛おしい姿のモノであり、
一方で今も現役で活躍しているのが頼もしい。

 

もちろん、銭湯に欠かせない番台も健在!これだけでも一見の価値あり

 

まさに、ハレとケがお薦めする箱崎の「ケ」の空間。
旅の疲れをぜひここで癒やして欲しい。

 

【梅の湯】
福岡市東区筥松3−6−35
TEL.092-612-6812 日曜日定休
営/16:30〜22:30

ACCESS

[アクセス]JR鹿児島本線 「箱崎駅」下車 西口よりすぐ / 地下鉄 箱崎線「箱崎宮前駅」下車 徒歩12分
[ACCCESS] JR “Hakozaki " Station Immediately from the west entrance / 12-min,walk from “Hakozakimiyamae”Subway Station.